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「喪中」について

「喪中」という言葉は、一度はだれもが耳にしたことのあるものでしょう。

ただ、この喪中のときにやるべきこと、またやってはいけないこと、喪中の意味については詳しくは知らない……という人もいるのではないでしょうか。

今回はそんな人のために、「喪中とは何か」「喪中の意味と期間」「喪中のときにやるべきことと避けるべきこと」について解説していきます。

喪中の期間と、「忌中」との違いについて

「喪中」とは、近しい人が亡くなったとき、その死を悼んで一定期間喪に服することをいいます。

かつては、喪中の期間は布告によって定められていました。明治7年に出された「太政官布告」によって、「父母が亡くなった場合は13か月間喪に服すべし、養父母の場合は150日、夫の場合は13か月間、妻の場合は90日……と事細かに決められていました。妻が亡くなったときの喪中期間と夫が亡くなったときの喪中で大きな差があるのは、当時の情勢を表しているのかもしれません。ちなみにこの布告では、忌中の期間も定められていました。

この布告は意外なほどに長く続き、昭和22年まで続きました。つまり今かほんの70年ほど前までは、喪中の期間も布告によって決められていたわけです。

このような布告が撤廃された今でも、「喪中」という考え方は息づいています。

現在では、立場を問わず、「家族が亡くなった場合、一周忌(1年間)が経つまでは喪中とする」とするご家庭が多いといえます。なおこれはあくまでご本人たちの意思によるものですから、「エンディングノートに、喪などに服してくれるなと書かれていた」「もともと喪中という考え方を持っていない」という場合は、喪に服す必要はありません。

上で、少し「忌中」についても取りあげました。

忌中と喪中は違うものです。

忌中は主に49日までを指すもので、四十九日法要を機に明けるものです。両方とも「故人の死を悼み、身を慎んで過ごす期間」という意味では一緒ですが、忌中の方がより「制限すべきこと」が多くなります。

次の項目では、「喪中と忌中、それぞれで守るべきこと」について解説していきます。

忌中と喪中、それぞれ控えるべきこと、行うべきこと

忌中と喪中の期間は、それぞれ控えるべきことと行うべきことがあります。 それについて解説していきます。

忌中の場合

まずは、喪中よりも制限が厳しい忌中についてみていきます。

神社にお参りをすること

仏式と神道は共通した儀式も多いのですが、神道の場合、忌中の間は神社にお参りするべきではないと考えています。神道においては、死はけがれ(穢れ。気枯れ)ととらえられています。そのけがれを、神域である神社に持ち込まないようにするために、神社にはお参りすべきではないと考えられています。安産祈願や七五三も控えるべきと考えられています。

結婚式など慶事への参加

結婚式などの慶事への参加は、極力控えるのが望ましいとされています。そのため、特段の事情がなければ、結婚式への参列は避けましょう。

新しい年のお祝い

新しい年になると、神社に足を運んだり、新年のお飾りをしたりする人も多いことでしょう。また年賀状を出す人もいます。しかし忌中の場合はこれを避けるべきだと考えられています。

精進料理以外の料理を食べること

昔の考え方では、四十九日を過ぎるまでは生臭物(魚や肉など、殺生に関わる食べ物)は避けるべきだとされていました。そのため忌中の期間は野菜類などだけで過ごし、魚や肉を口に入れることは慎んでいました。

 

しかし令和の現在において、このようなことを実践する人は極めてまれです。現在は火葬の後に繰り上げの初七日法要を行い、その後に精進落としの席を設けるかたちが一般的です。そのため、火葬の日にすでに「精進あげが終わった」とするのです(なおこの会食のときに生臭物を使用するか、それともこのときまでは精進料理にするかはご家庭によって異なります)。

現在はこのようなやり方が主流であるため、忌中期間でも基本的には魚や肉を食べても問題はありません。ただ、気にする人がいるのであれば避けてもよいでしょう。

喪中の場合

新しい年のお祝い

新しい年のお祝いは避けます。年賀状を出したり、神社にお参りに行ったりすることは避けましょう。また、近しい人が亡くなった場合は、喪中はがきを出します。これは新年のあいさつを欠礼することをしたためたはがきであり、12月上旬までに出すのが基本となるものです。

ただし、喪中期間であっても、人から年賀状が届くのは構いません。

結婚式など慶事への参加

喪中期間であっても、結婚式などの慶事に参加することは原則として慎みます。しかしこれは忌中期間ほど厳しくはなく、「可能な範囲で避ければよい」とされています。

神社へのお参りは賛否両論

忌中期間の場合は神社へのお参りは控えるべきだとされていますが、喪中の場合は、「喪中ならば神社へのお参りは気にしなくてもよい」とする説と「喪中であっても神社へのお参りは避けるべきだ」と考える説の両方があります。比較的多い解釈は、前者の「喪中ならば気にしなくても構わない」という方だと思われます。

 

ただ、喪中にしろ忌中にしろ、ここで紹介した「控えるべきこと」は絶対的なものではありません。あくまでご家族と、そして故人の意思によって決定していくべきことです。たとえば実際の例として、「もう自分の先は短いな」と察した人が、結婚予定であったお孫さんに対して「お前の花嫁姿を楽しみにしていたから、喪中期間でも、私のためだと思って結婚式を挙げてほしい」と告げたという例もあります。

もちろん、「喪中や忌中の期間は、きっちり喪に服したい」という気持ちを持っているならば、それも尊重されるべきです。

宗教への帰属意識が昔よりも薄れ、弔いのかたちもさまざまであるという理解が広まった今、喪中や忌中に関する考え方も柔軟になりつつあります。そのことを踏まえたうえで、それぞれの「喪中期間・忌中期間の過ごし方」を模索していきたいものですね。